【Linux カーネル: OS 入門7】I/O デバイス管理

I/O デバイスとは

I/O デバイス とは、カーネルに対して Input や Output を行うデバイスのことです。

I/O デバイスの具体例は、USB・Disk (SSD等)・Printer・キーバード・マウスなどです。

Linux カーネルの機能
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I/O デバイスの種類

I/O デバイスは次の2種類があります。

  • キャラクターデバイス
  • ブロックデバイス

キャラクターデバイス

キャラクターデバイスとは、1文字 (1バイト) ずつデータを送信するデバイスです。

キャラクターデバイスの具体例は、キーボード、マウス、tty などです。

通常、キャラクターデバイスは「ランダムアクセス」や「バッファ」をサポートしておらず、ストリーム処理となります。(すでに読み書きしたデータに戻れず、再度デバイスから入力する必要がある)

Linux では、デバイスをファイルとして扱い、キャラクターデバイスのシンボルは c となります。

ls -l /dev/tty
crw-rw-rw- 1 root tty 5, 0  7月 21 21:03 /dev/tty

ブロックデバイス

ブロックデバイスとは、ブロックサイズ(一定の長さのバイトやビット)ごとにデータを転送するデバイスです。

ブロックデバイスの具体例は、SSD、USBメモリ、CD などです。

ブロックデバイスは、以下の特徴を持ちます。

  • メモリバッファをサポートしているので、1バイトより大きなデータを転送可能
  • アドレスを指定可能なため、ランダムアクセス、シーケンシャルアクセスが可能

Linux では、デバイスをファイルとして扱い、ブロックデバイスのシンボルは b となります。

ls -l /dev/nvme0n1
brw-rw---- 1 root disk 259, 1  7月 21 21:03 /dev/nvme0n1
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ドライバーとコントローラー

I/O デバイスを処理する際には、以下の2つを利用します。

  • デバイスドライバー (Kernel 側)
  • デバイスコントローラー (I/O デバイス側)

デバイスドライバー

デバイスドライバーとは、OS が I/O デバイスを処理するためのソフトウェアです。

I/O デバイスごとに、対応するデバイスドライバーをプラグインとして後から追加できます。

デバイスドライバーが必要な理由

デバイスドライバーはデバイスごとに差異を吸収するため、プログラマーは特定のデバイス専用のプログラムを書かずに済みます。

例:A 社の SSD も、B 社の SSD も write() で書き込み可能となります

デバイスコントローラー

デバイスコントローラーとは、I/O デバイス用のデータ(シリアルビットストリーム)をデバイスドライバー用のデータ(バイトブロック)に変換するインターフェイスです。

デバイスコントローラーは、I/O デバイスに組み込まれた小さな CPU と理解して問題ないです。

コントローラーとデバイスの通信

コンピュータに接続された全てのデバイスコントローラーは、共通のバスを経由してデバイスドライバーと通信します。

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CPU と I/O デバイスの通信

CPU が I/O デバイスとデータをやりとりする方法は次の2つです。

  • Programmed I/O
  • Direct memory access (DMA)

Programmed I/O

Programmed I/O とは、CPU と I/O デバイス間でデータを転送する方式です。

Programmed I/O は、CPU 上で実行しているプログラムが I/O 操作をする時に使用します。

Programmed I/O は次の2つの方式があります。

  • port-mapped I/O
  • Memory-mapped I/O

port-mapped I/O

port-mapped I/O とは、I/O デバイスを読み書きする特別な CPU 命令を使用して、I/O デバイスを読み書きする方式です

インテル x86 の CPU はこちらの方式を使います。

インテル x86 には、IN 命令と OUT 命令が用意されているので、こちらを使います。

Memory-mapped I/O

Memory-mapped I/O とは、メモリを読み書きする CPU 命令を使用して、I/O デバイスを読み書きする方式です

モトローラの CPU はこちらの方式を使います。

メモリアドレス空間の一部を I/O デバイスに割り当てることで、I/O デバイスへアクセスします。

メモリアドレス空間に I/O デバイス (SSD1, SSD2) をマッピング

CPU は、以下の手順で I/O デバイスやメモリにデータの読み書きを行います。(参考1参考2)

  1. I/O デバイスやメモリのデバイスコントローラーは、アドレスバスを監視
  2. アドレスバスのアドレスが自分にマッピングされている場合、コントロールバスを確認
  3. コントロールバスの値に応じて次の処理
    • 読み込みの場合:データバスのデータを取り込む
    • 書き込みの場合:データバスにデータを流す

Direct memory access (DMA)

Direct memory access とは、メモリと I/O デバイス間でデータを転送する方式です

DMA は I/O 処理を、CPU の代わりにデバイスコントローラーに任せます。

これは、I/O 処理の度に CPU が割り込まれると、他の処理ができなくなるためです。

DMA Controller はマザーボードに搭載されている小さな CPU

現代では、CPU は中央演算装置という位置付けで、DMA を経由して各コントローラーに指示し、実際の I/O 処理は各コントローラーで行います。

DMA は次のように動作します (参考)。CPU が関与するのは開始と終了時のみです。

  1. CPU が DMA Controller に I/O 処理を依頼(開始アドレス、バイト数、Read/Write を指定)
  2. DMA Controller が I/O デバイスコントローラーに転送準備 OK なことを通知
  3. データを送信:I/O デバイスコントローラー --(送信)--> DMA Controller --(転送)--> メモリ
  4. メモリにすべてのデータを転送すると、DMA Controller が CPU に通知

I/O デバイスの入力の検出方法

CPU は I/O デバイスの入力を検出する方法は次の2つです。

  • Polling I/O
  • Interrupts I/O

Polling I/O

Polling I/O とは、CPU 側から I/O デバイスに I/O 処理待ちがあるか確認する方式です。

I/O デバイスが処理待ちをして無い場合は、CPU の時間を無駄に使うため非効率な方式です

Interrupts I/O(割り込み I/O)

Interrupts I/O とは、I/O デバイスから CPU に割り込み要求を送信する方式です。

CPU は割り込み要求を受信した時、現在のプロセスを保存し、I/O デバイスの処理を行います。

I/O デバイスの処理が完了すると、CPU は保存したプロセスの処理を再開します。

アプリケーションと I/O デバイスの通信

ユーザーアプリケーションと I/O デバイスの通信は、以下のとおりです。

  1. User I/O Libraries(stdio等) でシステムコールを呼び出す
  2. システムコール(write等)でデバイスドライバーを呼び出す(Kernelモードへ)
  3. デバイスドライバーがバイトブロックをデバイスコントローラーに送信(Hardwareへ)
  4. デバイスコントローラーがバイトブロックをシリアルビットストリームに変換
  5. シリアルビットストリームを元にデバイスが処理を行う

カーネル I/O サブシステム

カーネルは I/O 処理に関連する以下の機能を持ちます。

機能説明
スケジューリングプロセスが I/O リクエストがデバイスを使う順番を決める
キャッシングメモリにキャッシュする I/O データを決める
バッファリング異なるデバイス間でデータをやりとりするためにメモリに一時的にデータを保管
スプーリング低速なデバイスを利用する場合はスプーリングファイルに一時的にデータを溜める
エラーハンドリング保護されたメモリ領域へアクセスした場合のエラーハンドリング

関連情報

Linux カーネルの機能

参考サイト

Operating System - I/O Hardware
Operating System I O Hardware - This tutorial covers concepts like overview of Operating System, Types, Services, Properties, Process Scheduling, CPU Scheduling...
Operating System - I/O Softwares
Operating System I O Softwares - This tutorial covers concepts like overview of Operating System, Types, Services, Properties, Process Scheduling, CPU Schedulin...
https://www.nskint.co.jp/wp-content/uploads/2019/11/31.3.%E3%83%A1%E3%83%A2%E3%83%AA%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%95%E3%82%9A%E3%83%88%E3%82%99IO.pdf
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