【OSI 参照モデル レイヤ1 物理層】イーサネットとは

OSI 参照モデル

本記事は、全7回に渡る OSI 参照モデルの解説のうち、レイヤ1の物理層に関する記事です。

その他のレイヤの解説については以下の記事をご確認ください。

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物理層・イーサネットとは

物理層とは、ケーブルや信号(電気・光・電波)といったルールを決める層です。

「ケーブルを利用する LAN を有線 LAN」、「電波を利用する LAN を無線 LAN」を言います。

また、「有線 LAN に関するルールを IEEE802.3(イーサネット)」、「無線 LAN に関するルールを IEEE802.11」と言います。

本記事では、有線 LAN の規格 IEEE802.3(イーサネット)に焦点を当てて、物理層を説明します。

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イーサネットケーブルの種類

イーサネットで利用するケーブルには次の3種類があります。

  • 光ファイバーケーブル
  • ツイストペアケーブル
    • UTP(Unshielded Twisted Pair)ノイズを遮断するシールド加工無し
    • STP(Shielded Twisted Pair)ノイズを遮断するシールド加工有り
  • 同軸ケーブル

なお、現在の LAN ケーブルは、UTP ケーブルが主流です。

光ファイバーケーブルツイストペアケーブル同軸ケーブル
画像
amazon より
https://www.infraexpert.com/study/ethernet2.html
amazon より
中身
https://www2.edu.ipa.go.jp/gz/
https://www2.edu.ipa.go.jp/gz/
https://www2.edu.ipa.go.jp/gz/
芯線光ファイバー銅線(メタルケーブル)
信号電気
利用例光ケーブルLAN ケーブル, 電話線テレビケーブル
電磁ノイズ影響無し影響大(UTP ケーブル)
影響小(STP ケーブル)
影響小
配線難(ガラスのため脆い)易(柔らかくて曲げ易い)難(固くて曲げ難い)

イーサネット規格名

イーサネット規格名は、ケーブルの仕様に合わせて以下のように命名されます。

・旧イーサネット規格名(10BASE2等):<伝送速度><伝送形式><最長距離>
・新イーサネット規格名(1000BASE-T等):<伝送速度><伝送形式>-<ケーブルの種類>

各項目の詳細は以下のとおりです。

伝送速度単位は Mbps, 数字の後にGが付くと Gbps
伝送形式BASE はベースバンド方式(デジタル信号)。現在はこっちだけ
BROADブロードバンド方式(アナログ信号)
最長距離単位は "基本的に" 100m。例外多し
(10BASE5だと 500m、1BASE5 だと 250m)
ケーブルの種類「T」はツイストペアケーブル
「F」は光ファイバーケーブル
「R, W, X」は光ファイバーケーブルが多い
・「S(Short)」距離の短い光マルチモード
・「L(Long)」距離の長い光シングルモードが多い
・「C(Coaxial?)」同軸ケーブル

例えば、新イーサネット規格名の「1000BASE-T」は以下を表します。

  • 伝送速度: 1000 = 1000Mbps
  • 伝送形式: BASE = ベースバンド方式
  • ケーブルの種類: T = ツイストペアケーブル

イーサネット規格名の一覧

イーサネット規格名の一覧を以下に記載します。

規格名通信速度主な使用ケーブル距離
1BASE5(旧規格名)1MbpsUTP(2対)250m
10BASE2(旧規格名)10Mbps50Ω同軸 (5mm)185m
10BASE5(旧規格名)50Ω同軸 (12mm)500m
10BASE-TUTP (カテゴリ CAT3)100m
10BROAD36(旧規格名)75Ω同軸3600m
10BASE-F10BASE-FB光マルチモード2000m
10BASE-FP光マルチモード1000m
10BASE-FL光マルチモード2000m
100BASE-T100BASE-TX100MbpsUTP (カテゴリ CAT5)100m
100BASE-T4UTP(4対 カテゴリ CAT3)100m
100BASE-T2UTP(2対 カテゴリ CAT3)100m
100BASE-F100BASE-FX光マルチモード/シングルモード2000m/20km
1000BASE-T1000BASE-T1000MbpsUTP(4対 カテゴリ CAT5e)100m
1000BASE-TXUTP(4対 カテゴリ CAT6)100m
1000BASE-X1000BASE-SX光マルチモード550m
1000BASE-LX光マルチモード/シングルモード550m/5000m
1000BASE-CX同軸ケーブル(2芯並行)25m
2.5GBASE-T2.5GbpsUTP(4対 カテゴリ CAT5e)100m
5GBASE-T5GbpsUTP(4対 カテゴリ CAT6)100m
10GBASE-T10GbpsUTP(4対 カテゴリ CAT6/CAT6a)55m/100m
10GBASE-R10GBASE-SR光マルチモード300m
10GBASE-LR光シングルモード10km
10GBASE-ER光シングルモード40km
10GBASE-ZR光シングルモード40km以上
10GBASE-W10GBASE-SW光マルチモード300m
10GBASE-LW光シングルモード10km
10GBASE-EW光シングルモード40km
10GBASE-X10GBASE-LX4光シングルモード10km
10GBASE-CX4対2芯銅線 (CX4) 同軸15m
25GBASE-T25GbpsSTP(4対 カテゴリ CAT7)30m
40GBASE-T40GbpsSTP(4対 カテゴリ CAT7)30m

LAN ケーブルのカテゴリ

LAN ケーブルで利用するツイストペアケーブルは、イーサネット規格名とは別に、カテゴリと呼ばれる規格でも分類されます。

LAN ケーブル(ツイストペアケーブル)のカテゴリは以下のとおりです。

カテゴリ伝送速度伝送周波数帯域ノイズシールド使用可能距離
CAT120kbps-UTP-
CAT24Mbps1MHzUTP-
CAT310Mbps16MHzUTP100m
CAT416Mbps20MHzUTP100m
CAT5100Mbps100MHzUTP100m
CAT5e1Gbps100MHzUTP100m
CAT61Gbps or 10Gbps250MHzUTP55m or 100m
CAT6a10Gbps500MHzUTP/STP100m
CAT710Gbps600MHzSTP50m
CAT7a40Gbps or 100Gbps1000MHzSTP15m
CAT840Gbps2000MHzSTP30m

なお、LAN ケーブルのカテゴリに対応するイーサネット規格名は以下のとおりとなります。

LAN ケーブルのカテゴリイーサネット規格名ケーブル
CAT310BASE-TUTP
CAT5100BASE-TXUTP
CAT5e100BASE-TX、1000BASE-TUTP
CAT61000BASE-TX、5GBASE-TUTP
CAT6a10GBASE-TUTP/STP
CAT710GBASE-T, 25GBASE-TSTP

UTP ケーブルの種類

UTP ケーブルには次の二種類が存在します。

  • ストレートケーブル
  • クロスケーブル
https://www.infraexpert.com/study/ethernet3.html

UTP ケーブルが2種類存在する理由を知るためには、以下の NIC について知る必要があります。

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NIC(Network Interface Controller)

NIC とは、ケーブルを接続するための差込口(LAN ポート)を用意するための拡張カードです。

NIC

現在のノートパソコンには、最初からマザーボードに差込口(LAN ポート)があるので、NIC で LAN ポートを用意する必要が少ないです。

https://azby.fmworld.net/usage/closeup/20150722/?usagefrom=closeup
ノートパソコンに内蔵された LAN ポートの例

NIC の中身は以下のとおり送信機と受信機が分かれています。

http://www5e.biglobe.ne.jp/aji/3min/ex/sup01.html
右側の LANポートから UTP ケーブルを接続

NIC と NIC をストレートケーブルで接続すると送信機(Tx)で送信したデータが送信機(Tx)に届いてしまうため、データが受信できません。

http://www5e.biglobe.ne.jp/aji/3min/ex/sup01.html

そこでクロスケーブルを利用して、送信機(Tx)と受信機(Rx)を接続します。

http://www5e.biglobe.ne.jp/aji/3min/ex/sup01.html

スイッチやハブは送信機(Tx)と受信機(Rx)の位置が逆になっています。そのため、NIC とスイッチやハブはストレートケーブルで接続できます。

http://www5e.biglobe.ne.jp/aji/3min/ex/sup01.html

なお、送信機(Tx)と受信機(Rx)が分かれている理由は以下のコリジョンを回避するためです。

コリジョン(衝突)

コリジョンとは、信号同士が衝突することです。
コリジョンが発生すると信号の形が変化して、正しいデータが送信できません。

  • 同軸ケーブル
    • 2つのコンピュータが同時に信号を受信しながら送信できません
  • ツイストペアケーブルの場合

コリジョンドメイン(衝突ドメイン)

コリジョンドメインは、コリジョンが発生する可能性のある範囲のことです。

以下の例ではコリジョンドメイン1のコンピュータが信号を送信した場合、コリジョンドメイン2とはコリジョンが発生しません。

ハブについては後述します。ハブと繋がっている機器同士は通信可能です。

ネットワーク機器(Layer1)

イーサネットの物理層で利用するネットワーク機器は以下の2つです。

  • リピータ
  • ハブ

リピータ

リピータは以下の機能を持ちます。
・電気信号を「増幅」してケーブルの規格の使用可能距離を伸ばす
・電気信号を「整形」してノイズで崩れた電気信号を元に戻す

https://www.infraexpert.com/study/ethernet6.html

後述するハブにリピータの機能が組み込まれてます。

ハブ(別名:リピータハブ、マルチポートリピータ)

ハブはポート(ケーブルの差し込み口)が複数ある機器です。
ハブはリピータの機能に加え、すべての機器に信号を一斉に送信できます。

https://www.infraexpert.com/study/ethernet6.html

また、以下のようにハブとハブを繋ぐこと(=カスケード接続)もできます。

http://www5e.biglobe.ne.jp/aji/3min/10.html

なお、カスケード接続は10BASE-Tなら4段、100BASE-Tなら2段までの制約があります。

ネットワーク用語(Layer1)

物理トポロジー

物理トポロジーとは、機器とケーブルの配置のことです。

物理トポロジーは次の5つの種類があります。

  • バス型トポロジー(物理トポロジーではオワコン。論理トポロジーの主流。)
  • リング型トポロジー(オワコン)
  • スター型トポロジー(現在の LAN の主流)
  • ツリー型トポロジー
  • メッシュ型トポロジー(対障害性あり)

イーサネットで利用可能なトポロジーは「バス型トポロジー」と「スター型トポロジー」です。

バス型トポロジー

http://www.aim-ele.co.jp/tech/metal-tech10/

バス型トポロジーは、同軸ケーブルを利用するトポロジーです。前述したとおり、現在 LAN ケーブルにはツイストペアケーブルを利用するためオワコントポロジーです。

スター型トポロジー

スター型トポロジーは、集線装置(ハブL2 スイッチ)に複数のノード(コンピュータや L2 スイッチ等)を繋げた現在主流のトポロジーです。

その他のトポロジー

各トポロジーの説明は以下の記事が参考になります。

3 Minutes Networking No.11
ネットワークトポロジーとは
ネットワークトポロジーとは。

ファストイーサネット

ファストイーサネットは 100Mbps の通信に対応した規格のことです。

ファストイーサネットの特徴は以下のとおりです。

ギガビットイーサネット

ファストイーサネットは 1Gbps の通信に対応した規格のことです。

家庭で最も普及している1000Base-T の UTPCAT5e) を使うイーサネットです。

次のレイヤについて

OSI 参照モデル レイヤ1の物理層に関する説明は以上となります。

次のレイヤに関する説明は以下の記事をご覧ください。

参考資料

以下の書籍やサイトを参考にしました。

3 Minutes Networking
ネットワークエンジニアとして
ネットワークエンジニアに必要なネットワーク技術とCisco・Juniper・F5製品の技術解説。NWエンジニアの仕事内容や年収を紹介。ネットワークスペシャリスト、CCNA/CCNP/CCIEの情報発信。
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